『具体と抽象 / 細谷功』ブログで使える文章・言葉の作り方を学ぶ

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 ブログに限らず、他人に何かを伝えるというのは難しいもので。

 ある人には伝わっているのに、ある人には伝わっていない、何てことはよくあります。または本質的には同じ意見なのに対立してしまう、ということも。

 本書『具体と抽象 - 世界が変わって見える知性のしくみ』では、具体と抽象という概念を知ることで、自分とは違ったタイプの人にも伝わる「共通の物差し」を身につけることができます。

 

具体と抽象 ―世界が変わって見える知性のしくみ

具体と抽象 ―世界が変わって見える知性のしくみ

 

 

 一見難しそうなタイトルですが、133ページ程度で4コマ漫画での補足もあり、読みやすさ抜群の本です。普段、本を読む習慣がない方も手に取りやすいボリュームで、何気なく使っている言葉や思考の構造を学べる本となっています。

 何かを説明した時に「もっと具体的に話して!」や「抽象的すぎて分からないよ...」など、具体と抽象は、普段の生活でも使われる言葉だと思います。

 

  • 具体 = 分かりやすい
  • 抽象 = 分かりにくい

 

 一般的にこんなイメージではないでしょうか。僕も何事も具体的であることが分かりやすさにつながる、と思って23年間生きてきました。

しかし、本書では抽象という概念をこのように語られています。

 

「抽象化を制するものは思考を制す」

P15 序章 抽象化なくして生きられない

 

 序章に書いてあったこの言葉。読後の今、はっきりと分かります。

紹介したいポイントが多すぎて、詰め込もうか...とも思ったのですが、今回は僕が読んで「ブログでも使えるかも!」と思った点を中心に、いくつか紹介していきます。

 

まず、”具体と抽象”という概念について。

 

 

具体と抽象とは「一を聞いて十を知る」

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序章 抽象化なくして生きられない(から筆者作成)

 本書の中では、このような表で説明されています。

うーん、言葉としては分かるけど、正直これを見ただけでは、ピンとこない...なので、全体を通して、ところどころに出てくる抽象の世界に関する表現をまとめてみました。

 

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抽象に関する表現まとめ(筆者作成)

 この反対が具体の世界です。僕が読んでしっくりきた分かりやすい表現をまとめてみましたが、それぞれの章で具体と抽象の世界の差を、さまざまな言葉で説明されています。

具体と抽象を筋肉で見ていくと......

 

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 「筋肉」という抽象があり、その具体に「大胸筋」や「上腕二頭筋」などの個別の筋肉が存在する。この複数のものを共通の特徴で”まとめて同じ”と見なす、という考え方が、抽象化ということです。

 この”まとめて同じ”と捉えることで、1つの学びを他の場面でも適応することができ、抽象化は「一を聞いて十を知る」ことにつながります。

 

「分かりやすい話」と「分かりにくい話」の差

 こうしてブログを書いている僕も「分かりやすさ」を追い求めているわけですが、なかなか身につかないもので。面白いブログに共通するのは、この「分かりやすさ」だと思っています。

 個人的に複雑なことを図解できる方や日記が面白い方をとくに尊敬しているのですが、自分の体験や知識を相手に伝えるために、別の何かで例えることがあります。

 

 本書では、この例えがうまい人を......

 

「具体 → 抽象 → 具体 → 抽象、という往復運動による翻訳」に長けた人

P41 第6章 往復運動

 

 自分の体験を相手の身近な何かに翻訳することで、その場にいない人にもすんなり伝えることができています。また、抽象化ができる人は「かいつまんで説明」もできるので、より分かりやすく伝わります。この話を読んで、僕が一番最初に思いついたのは”ツイッターが上手い人”。140字という制限の中では、どこを抽象化して、どこを具体化するのか、という編集力とこの翻訳する力に長けているのではないでしょうか。

 もちろん、体験をそのまま具体レベルで話しても伝わると思いますが、そのまま話しても、あんまり伝わっていない、思ってた反応じゃない、なんてことはよくあります。

 

「そのままズバリ」の表現では伝わりにくいことも多いのです。

 

例えば... 

 A. セブンイレブンにポッキーを買いに行っていた。

 B. コンビニにお菓子を買いに行っていた。

 

 Aのように具体的に伝えようと必要のない固有名詞を使うと、具体的すぎて分かりにくくなり、適度に抽象化させ、汎用性のあるBの方が分かりやすく伝えることができます。──これくらいの短文であれば気になりませんが、会話や説明など、言葉数が多くなると、分かりにくさにつながるのも分かります。

 つまり、状況や伝える相手に合わせてほどよい抽象度にすることが、分かりやすさのポイントとなっています。

 

名言から感動まで「響く言葉の作り方」

 自分の名言を残そう!と思う人は多くない気がしますが、それぞれ伝えたいメッセージはあるのではないでしょうか。

 

「時は金なり」

 

 名言、と言われるものは、自分勝手に好きなように解釈できるように、抽象度の高い表現が多く使われています。具体的な表現では解釈が限定されてしまい、万人に共感されることが難しくなるのです。この「時は金なり」という言葉も誰の時間で、誰のお金で、どんな状況なのか、という表現は一切含まれていません。

 こういった解釈の自由度を高く作られている名言に対し、感動を誘うような表現では具体的な表現が有効になってきます。

 どんなところで生まれて、どんな環境で、どんな体験をしたか、より具体的で個人的な情報、ストーリーには感情に訴える力が高いのです。これを抽象的に表現してしまうと、相手の感情は動きにくく、あっさりとした内容で伝わってしまいます。

 

 抽象化がすべてなのではなく、具体化と抽象化を往復できることが、言葉を作る上で重要になるようです。

 

文字の「数と質」の関係

 「数か質か」という問題は、ブログにおいても文字数は◯◯文字以上や記事数が一番重要など、様々あります。(何が正解なのか分かりませんが...)

この問題を本書では、このように考えられています。

 

具体の世界は「量」重視であるのに対して、抽象の世界は「質」重視であるとともに「その量は少なければ少ないほど、あるいはシンプルであればあるほどよい」という世界です。

P73 第11章 量と質

 

つまり......

  • 具体の世界 → 複雑で分厚い本に価値がある
  • 抽象の世界 → シンプルに研ぎ澄まされた1枚の図に価値がある

 

 だからと言って、すべてを抽象化してしまうと個性も同時になくなり、面白さが減少してしまうと思いますが、何かを説明・解説するような記事では図解などで、できる限り抽象化して、伝えたいところを際立たせることは重要になってくるのでしょう。

 

パクリとは違う!アイディアの作り方

 どんな記事にするか、どんなブログにしていくか、時には「書きたい記事がまったくない!」 なんてこともあります。日々、気付きやアイディアを探している方も多いと思います。

 このアイディアと紙一重の距離にいるのがパクリです。「インスピレーションを得て」という便利な言葉もありますが、アイディアとパクリの違いを本書ではこのように定義しています。

 

アイディアを真似をする行為は、具体レベルで見た目のデザインや機能を真似することであり、これは単なる「パクリ」となります。

 

具体レベルのものまねは単なるパクリでも、抽象レベルでまねすれば「斬新なアイディア」となります。

P88 第14章 アナロジー

 

 回転寿司がビールのベルトコンベアから生まれたと聞いて、それはパクリだ!という人はいないでしょう。

 肉じゃがとカレーって見た目や味付けこそ違いますが、食材をみると同じものが使われています。それでもカレーと肉じゃがは同じ料理だ!とは思いません。──というように、抽象化は内部の構造を理解することに近いと思う。

 

「一見まったく別のもの」を抽象化し、掛け合わせることがパクリではない、斬新なアイディアを生み出すヒントになってくるのだと思います。

 

まとめ 

「具体と抽象」を紹介してみましたが、この通り僕はまだ具体と抽象を習得できていないので、こんなに学びの多かった本を紹介しきれていない気がしています。

「抽象化なしでは生きていけない」で始まった本書の最終章が「抽象化だけでは生きにくい」だったのも興味深かった。

詳しくは本書を読んでいただきたいのですが、人間関係や目標設定などにおける、具体と抽象についてもたっぷり書かれています。

読後、僕の目は解像度が下がったように「できるだけぼんやり物事を抽象化しよう」としています。──具体と抽象を自由に往復できるまで、どれくらいかかるのか。

 

今年読んだ本で1番おすすめと言っていいくらい、間違いない本です。

 

ぜひ、興味ある方は手に取ってみてください。

具体と抽象 ―世界が変わって見える知性のしくみ

具体と抽象 ―世界が変わって見える知性のしくみ