炭水化物・糖質制限ダイエットの仕組みと誤解をサクッと解説

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ここ数年、注目されていた炭水化物・糖質制限ダイエット。最近はかなり落ち着いてきた印象ですが、話題になるものの多くに誤解が生まれている気がしています。

 

── 炭水化物・糖質を利用したダイエットとは?

── そのメリットとデメリットは?

── 有効的な活用方法は?

 

など今回「炭水化物・糖質制限ダイエット」を軸に考えていきます。

 

  

 糖質って何?

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※糖質や炭水化物について、ご存知の方は次のパートから読み進めください。

糖質制限」や「炭水化物ダイエット」など、メディアによって呼び方が様々ですが、そもそも炭水化物と糖質は完全に同じものではありません。

糖質に食物繊維が加わったものを「炭水化物」といいます。もっと細かく言えば、糖質は多糖、二糖、単糖で構成され、その二糖と単糖で構成されているものを糖類といいます。それぞれ分子の数によって呼び方が変わっているのです。

糖質は消化されますが、食物繊維は消化されません。なので、消化の視点で見ると炭水化物と糖質は同じということです。ややこしいですよね...ここは覚える必要はありません。ざっくり「糖質+食物繊維が炭水化物」とだけ、頭の片隅に置いておいてください。

ダイエットでご飯やパン、麺などの主食をカットする方法では、糖質単体を制限しているというより、炭水化物を制限することで、糖質を制限していることになります。

 

炭水化物を抜くと痩せるの?

炭水化物を抜くと、すごく体重が落ちます。それも即効的に。

では、炭水化物を抜くとどうなっているのでしょうか。

炭水化物・糖質を制限するダイエットは、炭水化物に含まれる糖質が脂肪になる過程にフォーカスしたダイエット法で、次ようなのことを狙って行われています。

 

①  糖質(が含まれる炭水化物)を摂取する② 血糖値が上昇するインスリンが分泌(血糖値を下げるホルモン)④ 血糖値を下げるために、脂肪や筋肉にブドウ糖を取り込ませる⑤ 脂肪にブドウ糖が取り込まれると、脂肪細胞が合成され、大きくなる⑥ 脂肪が増える(太る)

 

この行程で起きる”インスリンの分泌”を抑えれば(糖質を制限する)、脂肪は大きくならないよね。という考え方が利用されています。

 

・糖質の摂取を抑えれば、脂肪がエネルギーとして使われる

インスリンの分泌が抑えられるので、脂肪細胞の合成を防げる

 

大きく分けるとこの2点の合わせ技で、体重が落ちていきます。(と説明されますが、ここまでシンプルな反応は起きていません。)

「糖質を制限する」というポイントが、体重の減少の要因のように見えますが、実際は糖質を制限したことによってタンパク質の摂取量が多くなった。また、全体の摂取カロリーが抑えられた、という点の効果が強いように思います。

食事誘発性熱産生(体内に吸収された栄養素が分解され、熱となって消費される)を見ても、タンパク質が30%に対し、糖質が6%、脂質が4%と圧倒的にタンパク質が高くなっています。つまり、タンパク質はエネルギーとして消費しやすく、体脂肪・体重の増加につながりにくいということです。(通常の食事では混合のため、この限りではありません)

 

・タンパク質の摂取量が多くなる

・全体の摂取カロリーが低くなり、1日のカロリー収支がマイナスになる

 

これらの要素も強く影響していることが考えられます。

 

実際に、糖質を制限をしていくと、筋肉の中にある糖質(筋グリコーゲン)がなくなっていき、水分も同時に減少していきます。体がしぼんでいくようなイメージです。

このように初期段階では水分量が落ち、体重の変化に対し、体脂肪は大きく落ちていきません。ただ、これが習慣的になると「体脂肪をエネルギーにしよう!」という反応になり、脂質をエネルギーとして使い出します。

なので、ここ数年流行っている短期間のダイエットプログラムでは、ウエイトトレーニングに加え、糖質制限を行うことで、エネルギー収支をマイナスにし、大幅に体重を落とせています。

個人的には支持しませんが、短期間のダイエットでは、失敗しにくい方法だと思います。(体重の数値だけ見れば...)

 

糖質制限のメリット

糖質制限の魅力は、なんといってもこの即効性でしょう。

実際、糖質制限(低糖質)の研究は多数あり、3ヶ月ほどの短期間のダイエットでは、優位に脂肪が減少。しかし、長期的に見ると低脂質のダイエットと効果は変わらないという報告も出ていました。やはり、体重が落ちる瞬発力は高いようです。

取り入れやすい!というのも大きなメリットの1つでしょう。

ご飯や麺など主食となるものを抜くなど、ゆるく簡単に糖質を制限できるので、面倒な栄養計算を行う必要もありません。日本人の食事の50~65%が炭水化物なので、炭水化物を抜くだけで全体のカロリーを低くすることができます。

「食べていいものが限定される」というのもダイエットが成功するポイントになっています。*1「食べてはいけないもの」よりも「食べるべきもの」が決まっている方が、成功率が高いと考えられます。

 

痩せるだけではない、糖質制限のデメリット

しかし、いいところばかりではありません。デメリットも存在します......

筋肉の維持・肥大がしにくく、筋肉量が減りやすい

インスリンが脂肪にブドウ糖を取り入れることは確かですが、同時に筋肉にもブドウ糖を取り込ませています。また、インンスリンは筋肉の分解も抑制してくれています。

今ある筋肉を維持・肥大させていくには、筋タンパクの合成が必須条件です。そして、その筋タンパクの合成には、インスリンも関わっています。なので、糖質を制限してしまうと、タンパク質の合成を高める刺激が、通常より少なくなってしまうということになります。

それだけでなく、糖質制限によって、エネルギー不足になると、脂肪だけでなく、筋肉の分解が起き、合成される量を上回ると、知らない間に減ってほしくない筋肉まで減ってしまいます。

 

骨粗鬆症や免疫力の低下などへのリスク

もちろん、筋肉量が減少すれば、運動機能にも影響が出てきます。長期的に見ると、関節への影響や骨粗鬆症、免疫力の低下などのリスクも考えなければいけません。

中高齢者のダイエット広告も最近目にしますが、これらの症状は中高齢者こそ特に気をつけるべきです。年齢に関係なく体は変えられます。ただし、方法は考える必要があります。見た目や数値だけのダイエットと健康は一致しないことも多いのです。

 

レーニングの質が低下する

レーニングと併用して糖質制限を行う方も多いと思いますが、糖質を制限することで挙上回数が落ちるという報告も出ています。*2

普段10回上げられる重さを7回しか上がらない、みたいなことが起きるわけです。

糖質は、筋タンパクの合成だけでなく、筋グリコーゲンの回復や筋損傷の回復も促進してくれているため、習慣的にトレーニングを行う人にとっては、これらの利点を失わない使い方をする必要があります。

 

太りやすい体質になる 

過度な糖質制限では、リバウンドは避けられないと思ってください。

ダイエットをする上で、最も避けたいリバウンド...糖質制限でエネルギー不足になると、筋肉が分解されます。また、筋肉が減っていくと、基礎代謝(何もしてない時もカロリーを消費してくれる代謝)が低下し、消費されるエネルギーも減っていきます。

つまり、糖質の摂取を極端に減らしてしまうと、太りやすい体質にも繋がってしまうのです。

 

インスリン=悪」ではない。カロリー収支が重要!

ここまで聞くとインスリンは悪者で分泌されない方がいい、みたいに思えてきますが「インスリン=悪者」というわけではありません。

糖質を摂取しても体脂肪になるのは、ほんの一部です。*3

インスリンが分泌され、脂肪の合成が促進されるのは、食後の数時間に限ります。なので、糖質が含まれる食事を取ったからといって、脂肪がずっと作られているわけではないのです。食べたら食べた分、脂肪になってしまうと恐怖に駆られる必要もありません。

1日のカロリー収支(摂取と消費のバランス)が釣り合っていれば、体重が増加することはありません。*4

・消費カロリー<摂取カロリー → 太る

・消費カロリー = 摂取カロリー → 変化なし

・消費カロリー>摂取カロリー →  痩せる

この関係が崩れることはありません。

そもそもインスリンは糖質だけでなく、タンパク質の多い食事を摂取してもは分泌されるようなのです。*5

なので、僕たちの体は「糖質さえ抑えれば、インスリンの分泌が抑制されて、体脂肪と体重が落ちていく」ようなシンプルな作りではないようです。

 

糖質制限はこう使え!リバウンドせず、筋肉も落とさない食事法

でも、行いやすい糖質制限。さまざまな使い方がありますが、筋肉を落としにくい糖質制限の方法を考えていきます。筋肉量を落とさないことで、リバウンドしにくい、シャープな体を作ることが目的です。

まず、食事のタイミングを2つに分けます。

分け方としては「トレーニング前後」と「その他」です。

レーニング前にはしっかり糖質を摂取し、トレーニングに備える。また、トレーニング後には筋タンパク質の合成や筋グリコーゲンの回復をサポートしたいため、しっかり摂取。(痩せることを第一に考える方は少し抑えめに)

それ以外のタイミングは糖質を抑えて摂取する。ただし、起床後は睡眠時にエネルギーが枯渇しているため、ある程度は食べる必要があります。

 

・トレーニング前後...しっかり摂取(トレーニング後は少なくてもOK)

・それ以外...糖質少なめ(起床後は必ず摂取)

 

これらの食事もタンパク質を多く、糖質を少なめに摂取できるといいでしょう。また、ひとつの指標として「GI値」でコントロールするのもありだと思いますが、個人差も指摘されているため、あくまで体重の変化などを参考に取り入れていきましょう。

まずは、1週間ほど、体重の経過を見てみましょう。くれぐれも糖質の摂取をゼロにしないように注意です。このようなカロリーを算出する方法もありますので、参考までに。(PFCバランスを制する!ダイエットで使える超簡単な栄養計算6ステップ 

 

「糖質=悪者」ではなく、糖質は「コントロールするもの」なのです。

 

まとめ

ここ数年「糖質は摂らない方がいい!」みたいな話が多く出ていましたし、ダイエットの手段として利用されることが多くなっていました。

糖質制限に関する記事は以前から書きたいと思っていたのですが、このタイミングで書くきっかけは、この相談メールです。

身長165cm、体重50kg、体脂肪率18%、20歳(女)

今年の6月以降、外食の日以外は食事を制限するか全く食べないという生活を送った結果、摂食障害になってしまいました。現在でも毎日の摂取カロリーは300kcalほどです。プロテインサプリメントを飲んでいるので、たんぱく質やビタミン等は摂取出来ていますが、慢性的な糖質不足です。本当は食事量を増やすべきなのでしょうが、リバウンドが怖いです。

トレーナーのお悩み相談室

プロフィールを見ても、食事のコントロールが必要な体型ではなさそうですが、 タンパク質とビタミンは摂取しているということなので、糖質と脂質を制限しているのでしょう。そして、リバウンドの怖さから食事量が増やせないという......

一般的に「糖質=太るもの」というイメージ作りが強すぎるような気はしていたのですが、ここまでとは。この質問者の方も含め、少しでも糖質や糖質制限について、メリット・デメリットを明確にできればと思い、今回この記事を書いてみました。

 

どこか少しでも参考にしていただけると、嬉しい限りです。