筋肥大はどんなトレーニングで起きるのか

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レーニングの目的は様々ありますが、その中でも筋肥大にフォーカスします。

筋肥大に効果的とされるトレーニングプログラムやそこに関わる要素は様々あり、1つの記事では紹介しきれないので、今回は筋肥大のベースになる部分「現在分かっている筋肥大のメカニズム」や「トレーニングの強度・負荷」について触れていきます。

 

 

筋肥大はなぜ起きるのか。

筋肥大はなぜ起きるのか、といってもそのメカニズムは完全に解明はできていません。ここでは、現在分かっているメカニズムを大きく2つに分けて紹介します。

 

1つ目は『筋線維再生系』。

これは筋線維が壊れたり傷ついたりした時に再生する仕組みで、筋トレによって活性化し、修復しながら、筋線維を増やし、太くしていく、という反応です。

これは説明されることも多く、イメージしやすいと思います。

 

2つ目は『タンパク質代謝系』。

これは筋タンパク質が筋線維の中で合成・分解される仕組みです。

普段の生活の中でも、合成と分解は起きていて、筋タンパク質の合成が高まれば、筋線維は太くなってくれますが、筋タンパク質を分解する仕組みもあり、分解が高まれば、筋肉は減少します。

この合成と分解のスピードが同じでは、筋肉のサイズは変化しません。

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合成と分解はスイッチのようになっていて「合成が高まると分解は下がる」「合成が下がると分解が上がる」ということが起きます。

 

合成のスイッチの1つは筋トレ(とタンパク質の摂取)です。

筋トレ(とタンパク質の摂取)を行うと、筋タンパク質の合成が高まります。ここが筋肥大のポイントです。*1

この筋タンパク質が合成されるタイミングを増やすことで、筋肉中のタンパク質の量が増え、筋肥大につながります。

 

対して、分解のスイッチの1つは空腹(エネルギーの枯渇)です。

空腹時にはスイッチが分解に傾き、筋タンパク質が分解され、筋肉は減少していきます。激しいダイエットやストレス下では、この作用が強くなります。

「筋肉をつけたいならタンパク質を摂りましょう」と言われるのは、これらの関係が大きな理由になります。

 

つまり、何れにしても「筋肥大にはトレーニングが不可欠」で、それに伴う「タンパク質の摂取も重要なカギになる」ということです。

また、これら2つの仕組みは個別ではなく、同時に働いていると考えらており、しっかりとトレーニングをしてもエネルギーが枯渇していたら、筋肥大は起きません。その反対も同様です。

 

では、次に実際に行うべきトレーニング強度について触れていきます。

 

 

筋肥大を目的としたトレーニング強度

筋肥大を目的とした場合『80%1RM』という負荷がベーシックなトレーニング強度といわれます。正確にはもう少し幅を持って考えられているので、順を追って進めていきます。

 

”RM = 最大反復回数”

 

まず、この”RM”(Repetition Maximum)は、最大反復回数という意味で、1RMは1回しか上がらない重さを表しています。トレーニング系の書籍などでも使われるので、覚えておくと便利です。

 

レーニング強度の目安はこんな表で示されます。

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この表を見ると80%1RMは、だいたい8RMに相当します。

ただ、80%1RMという強度も体調やトレーニング経験などにより、個人差が出てきます。そのため、筋肥大を目的としたトレーニングでは『70%1RM〜85%1RM』くらい幅を持って考えられています。挙上回数は『6〜12回』ほどになります。

 

筋トレは筋肉に負荷をかけるわけですが、その負荷は強ければ強いほどいいわけではない、とされています。

90%1RM以上という1〜4回しか反復できないような強度では、筋肥大ではなく、神経系による筋力アップが起こりやすくなります。

筋肥大には、強い負荷だけでなく、ボリューム(重量×挙上回数)と呼ばれる、トレーニング量も重要になります。筋肉が力を発揮する時間を長くしたいためです。

90%1RM以上の負荷では重量が重く、挙上回数が少なすぎるため、筋肥大には適していません。

反対に負荷が弱すぎる場合も通常のトレーニングでは、筋肥大を起こしにくくなります。

 

実際にACSM(アメリカスポーツ医学会)のガイドラインでは、筋肥大を狙う場合「70%1RM以上」の強度が必要とされています。

 

そのため、通常のトレーニングでは「70%1RM」12~15回上げられる重量を最低ラインと考えていいでしょう。

 

 

カニカルストレスの重要性

前に書いている80%1RMという強度は、筋肥大の要素である「メカニカルストレス」が重視されています。

カニカルストレスは、文字通り力学的な刺激のことで、強い力に抵抗したり、それに耐えるための適応反応として筋肉が太くなっていきます。この刺激が筋肥大にとって非常に重要になります。

 

筋肉のタイプは大きく速筋線維と遅筋線維の2つ分かれ、筋肉を太くするには、速筋線維を使わなければなりません。遅筋繊維が全く筋肥大しないということではなく、速筋線維の方が肥大のポテンシャルがもともと高く、肥大しやすいのです。

そんな肥大しやすい速筋線維をメインに使うためには、一定以上の大きな力発揮が必要となります。弱い力発揮では、運動単位の小さい遅筋線維しか使われません。

なので、80%1RMという大きな力を出すために、バーベルやダンベルを利用した高重量のトレーニングが行われるのです。

 

実際の研究でも速筋線維を使わなければ筋肉は太くならないと確かめられ、筋肥大に最も効果的な方法として利用されています。

この80%1RMという強度を用いて「しっかり負荷をかけてトレーニングする」ことが筋肥大のポイントとなります。

 

しかし、必ずしも80%1RMという高強度のトレーニングをしなくても、筋肥大は可能と言われています。

 

 

筋肉の内部環境を悪化させる

80%1RMという高強度でなくても、筋肥大は可能とされています。

例えば、加圧トレーニング。筋肉をベルトで締めることで、高強度トレーニングより早く疲労し、比較的早い段階で速筋線維が使われるようになります。同じようにスロートレーニングによる筋肥大効果も報告されています。*2

80%1RMを扱ったトレーニングは「メカニカルストレスを与える」というポイントがありましたが、加圧やスロートレーニングには「筋肉の内部環境が急速に悪化する」という共通点があります。

 

筋肉の内部環境が悪化する1つの要因は”筋肉の中が”低酸素状態”になること。

通常、運動によって酸素が消費されても、補うための酸素が新たに届きます。ところが、加圧トレーニングやスロートレーニングでは、ベルトや筋肉の圧力で血流が阻害される。血流が阻害されると、トレーニング部位は局所的に虚血状態になり、筋肉に新たな酸素が届かず、酸素濃度が急激に低下していくのです。

酸素濃度が低下すると、酸素を必要とする遅筋線維ではなく、酸素の供給が不十分でも働ける速筋線維が使われることになります。速筋線維が多く使われるようになると、乳酸などの代謝物が蓄積し、成長ホルモンや性腺刺激ホルモンなどの活性、成長因子ホルモンへ作用し、筋肥大に繋がるとされるのです。

 

また、低負荷のトレーニングでもボリュームを高めることで筋肥大が起きる、という報告もあります。*3

 

つまり、強いメカニカルストレスがなくても、オールアウト(しっかり追い込む)させれば、筋肥大は起こるということです。

これらが【80%1RM】という強度にこだわらなくても、筋肥大は起こると言われる1つの要因です。

 

他にも筋肥大には以下の要素があるとされています。

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これら5つの条件を満たすトレーニングは筋肥大効果が高いと言えます。反対に、これらの条件をクリアできないトレーニングでは、筋肥大は起きないということです。

普段のトレーニングで挙上重量や筋肉のサイズに変化がなければ、これらの条件をクリアできていないかもしれません。

 

 

まとめ

 

・筋肥大に効果的な強度は『70%1RM〜85%1RM』 

・低負荷でも条件さえ揃えば筋肥大は可能

 

どちらにしても筋肥大させるには、疲労困憊まで追い込む必要があり、楽して成果の出るトレーニングは今のところないようです。

『70%1RM〜85%1RM』の強度は筋肉だけでなく、関節にかかる負担も大きくなるので、トレーニングの際はくれぐれも注意して行ってください。