レモンって唐揚げの隣にポツンとあったり、雑誌の表紙で芸能人が持ったり、グラスの縁に添えられたり...数ある果物の中でも主役になりにくい果物だと思います。
そんな引き立て役の多いレモンが商品のコピーなどで「レモン◯◯個分のビタミンC」と表現されることについて考えてみたいと思います。
レモンのビタミンCを他の食品で換算する
ビタミンCの量を伝えるときに数字と一緒に「レモン◯◯個分のビタミンC」と表現されることがあります。
レモンに例えることで、どれくらいのビタミンCが入っているのかを分かりやすく伝えているわけですが、いつも基準とされるレモン(ビタミンC 22mg)は他の食品で換算すると、どれくらいのビタミンCが入っているのか考えてみます。
まず、ごぼうで比べてみると...
ごぼうは1本(180g)でビタミンCは、5.4mgほどあり、ごぼうでレモン1個分のビタミンCを摂取しようとすると、ごぼうを4本も食べる必要があります。
普段の食事でごぼう4本はとても食べられないので、さすがレモンといった感じです。
次に食卓に並ぶことも多そうな魚、ししゃもで比べてみます。
ししゃもは1匹(30g)でビタミンCは0.3mgほどあります。ししゃもでレモン1個分のビタミンCを摂ろうとすると、ししゃもを67匹、重さにして約2kgも食べなくてはいけません。
67匹のししゃもは、3,350kcalもあるのでビタミンCをとるには効率が悪すぎます。
最後に直接食べることはない唐辛子で考えてみます。
唐辛子は10本(5g)で0.05mgのビタミンCを持っているので、レモン1個分のビタミンC摂ろうとすると、唐辛子400本(200g)も必要になります。
ビタミンCを摂るために唐辛子を400本も食べるのは、ただの苦行に近いでしょう......
レモンのビタミンC量は多くない!
ここまで見るとすごくたくさんのビタミンCが入っているように感じますが、レモンのビタミンC量を赤パプリカで換算すると......
レモン1個分のビタミンCは赤パプリカ(44mg)半分で摂れてしまうのです。
いつもビタミンCの代名詞のように扱われているレモンですが、実はビタミンCが一番多いというわけではなく、レモンと同等または、レモン以上にビタミンCが多い食品は数々あります。
レモン本人も「俺あんまりビタミンC多くないんでけどな...」と疑問を感じ、ビタミンCが多い野菜の中では、かなり肩身が狭いように思います。
なぜ「レモン◯◯個分のビタミンC」という表現になったのか
清涼飲料水などでよく見かける「レモン◯◯個分のビタミンC」という表現。
そもそも何でレモンを基準にしたのでしょうか?
調べてみると清涼飲料水においては、こんな記述がありました。
食品業界においては、製品のビタミンC添加量を消費者にわかりやすく表現するために、「レモン○○個分のビタミンC含有」等のレモン果実の個数により表示を行っているものがある。これらの多くは、レモン果実1個当たりのビタミンC量として「20mg」を基準として採用している。
つまり、”酸っぱい=ビタミンC”という消費者のイメージに合わせて作ったもので、それ以上の意図はないようです。
このCCレモンの広告も赤パプリカ25個分というより、レモン50個分の方がインパクトもあり、味のイメージも同時に伝えられるので、やはりレモンの方が優れているのでしょう。
他にも食物繊維にはキャベツ、鉄分にはプルーン、カルシウムには牛乳や小魚など、栄養素の代名詞として使われる食品は様々ありますが、◯◯個分や◯◯倍というインパクトに先入観を抱かず、落ち着いてパッケージ裏の成分表を見ることをオススメします。
レモンに差し込むだけ!『シトラススプレー』が面白い
今回、レモンを調べている中で出会って衝撃的だった『シトラススプレー』を紹介します。
この『シトラススプレー』は、レモンやライムなどの果実に直接差し込むことで、果汁をスプレー出来るようになるグッズなのですが、レモン汁そのものを販売している企業がある一方「果実ごとスプレーにしちゃおう!」という発想が面白いですよね。
果肉などが詰まりそうな気配はありますが、一度試してみたい商品です。レモン好きな方はぜひ!
まとめ
「◯◯個分のビタミンC」などの表現は、イメージを基準にしていて、栄養素の一番多い野菜や果物を基準にしているとは限らないようです。
今回、終始レモンの話でしたが、この記事を書きながら、僕たちの社会の中にもこの”レモン”のように世間的には、その人が代名詞のように思われているのに、同じ業界の人からあまり評価されていないことって意外とあるのかもな...とふと思いました。