健康の秘訣はデータに聞け!『長生きの統計学/川田浩志』を読んである言葉を思い出す。

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世の中には健康に関する情報が溢れていて、いつでも知りたい情報を引き出すことができます。しかし、その中には「◯◯するだけ」や「◯◯を食べるだけ」のような明らかに信憑性が低く、胡散臭い情報が混在しているのが現状です。

そんな今、ぜひ読んでほしい本がこの『長生きの統計学 』です。

今回は、この本を読んだ感想と本の内容を簡潔に1つだけ紹介したいと思います。

 

 

長生きの統計学川田浩志

長生きの統計学

長生きの統計学

 

まず、最初に言っておきたいのは、この本に書かれている健康に関する統計は、数千人から数万人の被験者に対して、長期的に行っているため、テレビやニュースアプリなどで見られる数人の被験者の結果を紹介ものとは、明らかに信頼度に差があるということです。

とはいえ、信頼度が高い=難しい本というわけではありません。

表紙に大きく書かれている”統計学”という言葉。

この言葉を見ると何となく堅苦しい言葉で、グラフや数字がたくさん並んでいるようなイメージをしますが、この本はそれぞれ3択のクイズから始まり、それに対し解説される。とてもシンプルで、読みやすい構成になっています。

統計学をベースに書かれた本を初めて読む方にもオススメできる本です。

 

 

高齢化社会を目の前にして、予防医学への意識は欠かせません。しかし、あくまで必要なのは「正しい健康知識」でしょう。そのため、現役内海として第一線で活躍する著者による、何万人、何十万人以上の統計エビデンスを基にした健康書が必要だと考えました。老若男女問わず必要とされる、健康やアンチエイジングについての正しい知識を伝えられる一冊になったと感じています。長生きの統計学 | 文響社 Bunkyosha

 

 目次

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第1章から第4章まで、科学的エビデンスをもとに29もの情報が書かれています。

これだけの情報量が詰まっていますが、分かりにくい専門用語もなく、解説そのものも丁寧なので、予備知識なく読み進めることができます。

 

1つだけ紹介!『睡眠時間は90分の倍数にするべき? / 日本大学医学部』

ここからは本の中に書かれている内容を簡潔に1つだけ紹介します。

 

「睡眠時間は90分の倍数にするとよい」という説について。

 

この説は聞いたことのある人も多いと思います。最近では、その説に基づいて90分周期をカウントした上で朝にアラームを鳴らすアプリがあるほど、定着した説になっています。

この説について『長生きの統計学』ではこのように解説されています。

 

「90分サイクル説」の背景にある誤解

この説が広まった背景には、睡眠のメカニズムに理由があるといいます。

睡眠には、レム睡眠(浅い眠り)とノンレム睡眠(深い眠り)があり、睡眠が浅くなるレム睡眠時に目覚めたほうが、すっきり起きられるとされている。

そして、このレム睡眠は、入眠してから約90分後に訪れ、そこから「90分ごとにレム睡眠が繰り返し表れる」という前提で「90分の倍数の時間に起きればレム睡眠中に目覚めることができる」という説が定着していったと説明されています。

しかし、入眠からレム睡眠が訪れるまでの時間には個人差があり、90分はあくまでも平均値で、最新の睡眠周期の研究では「平均すると100分±30〜40分」といわれています。(日本大学医学部の内山真教授)

このことに加え、レム睡眠とノンレム睡眠のサイクルというのは、繰り返すごとにレム睡眠の時間が増えていく傾向があることも分かっており、単純に「90分の倍数」などと計算できるものではないようなのです。

こうしてみると「90分サイクル説」を利用して、誰もが90分の倍数の時間に目覚まし時計を合わせるのは、必ずしも理に適っているとは言えないでしょう。

 

睡眠の質は変化し続けている

睡眠は個人や性別、季節の差などがあり、睡眠の質や量は一定ではありません。

一般に睡眠時間は、年を取ればとるほど短く・浅くなり、季節によって睡眠時間も変化します。春から夏は睡眠時間は短く、秋から冬は徐々に睡眠時間は長くなり、30分程度の差がみられるそうです。

また、歳を重ねるごとに、男性は早起きになる傾向が強く、女性は寝つきが悪くなる傾向が強くなるなど、性別でも睡眠に差があります。

 

歳をとると睡眠時間が短くなり、不安に思っている方もいるかもしれませんが、その心配も必要ないようです。

 

米国の睡眠研究会が出している「スリープ」誌に、世界各国の65の論文から得られた3577人のデータをまとめた睡眠時間に関する研究が発表されました。

 

《年代別の睡眠時間》

・15歳...約8時間

・25歳...約7時間

・45歳...約6.5時間

・65歳...約6時間

それによると、人の睡眠時間は15歳前後で約8時間、25歳で約7時間、45歳では約6.5時間、そして65歳では約6時間というように減少していくと示されています。

これを見ると若いときより睡眠時間が短くなることは、自然なことだと分かります。

 

高齢の方が眠れない一方、若い方の中では仕事に追われて、睡眠時間を確保できていない、という方もいるのではないでしょうか。

そんな方は、睡眠時間を気にするよりも、自分の感覚を信じたほうが確かかもしれません。

 

 内山教授がまとめた厚生労働省の「健康づくりのための睡眠指針2014」によると...

 

必要な睡眠時間は、個人によって大きく異なり、また、年齢によっても変わります。一 人ひとりが、自分に必要な睡眠時間を知ることが大切です。自分の睡眠時間が足りている かどうかを知るためには、日中の眠気の程度に注意するとよいでしょう。日中の仕事や活 動に支障をきたす程度の眠気でなければ、普段の睡眠時間は足りていると考えられます。

厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針2014」第8条

 

ここには、睡眠時間が足りているかどうかは、日中の眠気がひとつの目安になるという指針を出しています。つまり、睡眠不足だと思っていても、翌日眠気を感じることなく過ごせれば、問題はないのです。

もし、1日のなかで何度も強い眠気を感じるような場合には、睡眠時間を見直し、適度(30分以内)な仮眠をとることで仕事の効率が上がることも分かっています。

 

このように一口に”睡眠”といっても個人差がとても大きいため「睡眠90分サイクル説」を鵜呑みにしてしまうと、逆に睡眠の質を下げることにも繋がりかねません。

よって、「睡眠90分サイクル説」は鵜呑みにしないほうがよい。とされています。

 

ところどころ細かな部分は編集しましたが『長生きの統計学』では、このように書かれていました。

 

長寿の秘訣は身近にある

この本の表紙を見て、最初に感じたのは「自分は長生きしたい」と思っているのか、ということ。

こう思ってしまった僕は完全に”健康慣れ”しています。これまで大きな病気も死がよぎるほどの怪我もない僕にとって毎日元気に起きることは、普通のことです。

しかし、そう思うと同時に1人の男性の言葉を思い出します。

 

「私の資産を全部あげるから、今のあなたの体と交換してほしいくらいだよ。」 

 

どこかの小説かドラマでも、こんな話があった気がしますが......

この言葉は、トレーナーを始めてから出会った高齢の方に直接言われたのですが、言葉の裏に死が見えてしまい、漠然とした怖さが残っていて、今でもときどき思い出します。

「健康は当たり前ではない」と分かっていながら、僕のように”健康慣れ”している人は意外と多いように思います。

 

現在、日本の医療費は年間総額40兆円(厚生労働省:国民医療費の概況)を超え、今後一人ひとりへの負担が大きくなったりするのでしょう。2013年には年金の受給開始年齢が65歳に引き上げられ、これに合わせて定年の時期も徐々に延長されています。

難しいことは分かりませんが、このまま今後も延長されると考えると、70歳まで元気に動ける体でなくてはいけません。

そんな中、体に何の不調もないからと、若さに任せていては、老化に伴う体の変化に対応できなくなるでしょう。

老後まで健康に過ごすためには、溢れている情報の中から確かな情報を得て、継続的に実行していく以外ありません。

 

この『長生きの統計学』に特別な健康法は書いてありませんでした。

どんなにおしゃれで目新しい健康法でも、続かなければ意味がありません。

継続して実行できた先にある健康に価値があり、それらは特別な運動や食べ物ではなく、近所のスーパーに置いてある食材や今から始められる生活習慣の中にヒントがありました。

健康はすぐ近くにあるということを強く再認識させられる1冊でした。

 

まとめ

今回は『長生きの統計学』を紹介しました。

統計学をベースに書かれているような本でも完全にバイアスのかかっている偏った解説が多く、うんざりな感じの本もありましたが、この本に関しては多角的で簡潔にまとまっているので、スムーズに読み進めることができました。

 

情報を精査する1つの基準として、この本を手にとってもらえればと思います。

 

著者について

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川田浩志(かわだひろし)

1965年生まれ、鎌倉出身。東海大学医学部内科学系血液腫瘍内科教授、医学博士。米国サウスカロライナ医科大学内科ポストドクトラルフェローを経て、2015年4月より現職。著書:『HEALTH HACKS! ビジネスパーソンのためのサバイバル健康投資術』『

ドクター由美の脳力育成HACKS!』など。

長生きの統計学

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