【部活】強くなるにはこれがいる!「瞬発力(SSC)」をデコピンで解説してみる。


どうして自分にはできないんだ、という体験は皆様にもあったと思います。

それは勉強かもしれないし、スポーツや恋愛かもしれない。僕が初めて無力を感じたのは小学生のときにやっていた陸上競技でした。当時は、もう手を尽くし切ったと思っていたことが、トレーナーの勉強を始めて明確な間違いが見つかりました。

そのキーワードが”SSC”です。

現在、競技に躓いている方から今後スポーツを始めようとしている方、スポーツ万能の子供に育てたい方に伝えたい。

記事全体の内容は結構です。”SSC”だけでも覚えて帰って下さい。

※本題であるSSCについては「競技力を支える”SSC”の力」から始まります。

 

負けに負け続けた2年間

「好きこそ物の上手なれ」とはよく言ったもので、もともと運動が得意ではないかった僕も好きという気持ちだけで、地元の陸上競技大会で入賞するまでに。

本格的に陸上をやっている方からすれば、地方大会なんてウォーミングアップのようなものでしょうが、当時の僕はそれなりに自慢だったりしました。

僕が行っていたのは「走り高跳び」で、初めて入賞したのが小学4年生。

それから引退までの2年間、陸上を続けたわけですが、一度も優勝することは出来ず。

どの大会も同じ選手が圧巻の強さで優勝をかっさらっていくのです。このブログ内では、天才のT君とでもしましょう。僕の記憶が正しければ、水泳、陸上(走高跳び、短距離、その他)、駅伝、すべての競技でT君は優勝していました。

「練習はウソをつかない」と言われることがありますが、間違った練習は、純粋無垢な少年に対しても全力でウソをついてきます。

どんなに練習しても差が1cmも縮まらないのです...僕の成績が145cmに対し、彼は165cm。レベルが違いすぎる。

結局負けに負け続け、考えることすら止めた僕の言い訳は...

・「T君の方が身長が高い!」(僕:150数cm、T君:160数cm)

・「センス!!」

この2点です。なんて情けない人間でしょう。

しかし、答えが出ないまま投げ出した「僕とT君の差はなんなのか問題」が4年の時を経て解決されます。

 

競技力を支える ”SSC”の力

さて、本題に戻します。

僕とT君の競技力を分けたのは、何だったのか。もちろん身長もあったと思います。しかし、なんといっても”SSC”の差だという答えになりました。

戦えた手段としては、これしか考えられません。

この”SSC”は「Stretch Shortening Cycle」の略で、馴染みのある言葉で言えば「瞬発力」です。

── いや、瞬発力かよ!

と思った方も多いでしょう。僕もそうでした。

ただ「瞬発力」と聞いて何をどう鍛えたらいいのか、いまいち分からなくないですか?

何かと多用する言葉の割にトレーニング方法も力の実態も部活レベルでは説明されることがかなり少ないように思います。(説明できる先生が少ないのかもしれませんが...)

そこで、最初に「SSC=瞬発力」について解説してみます。

 

SSC(瞬発力)は何の力なのか

よくアスリートに対して「バネがある」などと表現されることがあります。感覚的にことフレーズを使っているのだと思いますが、アスリートに限らず、僕たちの体には実際にバネとなる器官が存在します。

それが腱組織です。一番よく聞くのは”アキレス腱”だと思います。

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この腱という組織は、筋肉と骨の間をつなぐことで、筋肉の力を骨に伝える役割を果たしています。これは、保健の教科書にも書いてありました。

しかし、当時の僕が一番知りたかったのはここからです。

腱は、硬いゴムのように弾性を持ち、バネのように伸び縮みできる性質を持っています。←ここ!!

この腱が持つ弾性を利用することで、筋力以上のパフォーマンスを発揮することができるのです。(当時の僕は、これを上手く使えるように練習するべきだった...)

 

「デコピン」でSSCを解説!

本当はスポーツ動作で細かく解説できればいいのですが、分かりやすく解説する自信がないので、「デコピン」で腱の弾性とそのエネルギーについて見てみましょう。

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① 弾性エネルギーを充電

人差し指を親指で押さえることで、前腕から指にかけて走る筋・腱が強制的に伸張されます。この親指の作用でパワーを充電することができるのです。(分かりやすく赤く囲んでいますが、実際はもっと広い範囲の筋肉や腱で伸張が起きています。)

 

② 筋収縮と同時に中指が高速で飛ぶ!

人差し指から親指を離すと、筋収縮が起こるタイミングでパワーが放出され、中指が高速で飛んでいきます。

 

実際、デコピンを親指なしでやってみてください。痛みが出るような力は発揮できないはずです。仲間内で「デコピンがやたら痛い人」とかいたと思いますが、このSSCが上手い人ということになります。

ただし、動作ごとに練習が必要なので、これでSSCや瞬発力の素質が分かるという指標になったりはしません。

どの動作においても【強制伸張によって弾性エネルギーを充電 → 筋収縮と同時にエネルギー放出】という一連の流れは、基本的に変わりません。

これがSSC(瞬発力)の正体です。

 

とはいえ、「デコピン」では動きが単調すぎていまいちスポーツ動作と結び付きにくいと思いますので、別記事で野球の投球動作(大胸筋から前腕まで)に置き換えて考えてみます。

気になる方はこちらへ!

  

SSC(瞬発力)を鍛えるトレーニングとは

SSCは、誰でも上手くなれます。ただ、筋トレでは上手くならないんです...筋肉を大きくするのとは別にトレーニングが必要です。一般的によく行われるのは”プライオメトリクス”というトレーニングです。

このプラオメトリクスは「反動を使った動作を反復して行うトレーニング」で、筋トレとは動作が全く異なります。

こんなトレーニングがプライオメトリクスと呼ばれます↓

この動画に出てきている種目以外にも様々なトレーニングがあるので、競技や目的に合うものを探してみてください。

 

SSCのコツと注意点

SSC(瞬発力)を上手く利用するにはいくつかのポイントがあります。それぞれの競技特異性を含めて考える必要があるため、あくまでポイントとして3つだけ紹介します。

 

① できるだけ脱力する

脱力すると筋肉が強制伸張されやすくなるため、SSCが使いやすくなります。

 

② 腰を回す(上半身をスイングするような動作の場合)

腰を回す、腹部を動かすことで下肢からのSSCが伝達しやすくなるため、上半身をスイングするような動作ではポイントとなります。

 

③ 筋肉は大きい方がいい

SSCがかかっているときは、筋への力学的負荷が非常に大きくなるため、強い力発揮が必要となります。筋肉が大きい方が強くSSCがかかり、有利と言えます。

また、扱う対象物が重いほど筋肉の大きさが必要になります。(砲丸>円盤>やり投げ>野球ボール)

 

その他にも種目によってポイントが分かれるので、無駄に数をこなすのではなく、それぞれのポイントを意識しながら行いましょう。自分の動きを動画を撮ってみると習得が速くなります。(ジムでは撮影NGなところが多いので、確認してみてください)

 

◯ SSC・プライオメトリクスの注意点

SSCのトレーニングで行うプライオメトリクスは反動を強く利用するため、筋肉が伸張される際に力学的負荷がかなり大きくかかります。と同時に怪我のリスクも高くなります。くれぐれも強度は段階的に上げていきましょう。

また、成長期の子供は、成長軟骨の障害につながる場合があるので、もし動作の練習として一時的に行う際は、強度や回数に注意して行いましょう。(【相談の回答】成長期の子供に効果的な筋トレってあるの? - とれはぶ.com) 

 

”SSC”と”伸張反射”は全く別物

 よく「伸張反射を利用して」と言われることが、瞬発力として筋力発揮をしている仕組みはSSCの貢献度が高く、伸張反射とは一線を画します。

・伸張反射…筋が急速に伸ばされると収縮する反応のこと。

日常生活の中では、居眠りをしていて「カクッ」と落ちた首が戻るや段差に驚いたときに倒れないように動きを止めるような危機管理的な貢献度が高い反射です。

この反射は、とにかく速く!とても弱い!

段差に驚いたときに反射が起きて、ジャンプしてる人なんて見たことないですよね。体が怪我をしない程度のパワーしか出ないため、SSCの貢献度はかなり低くなっています。

SSCの練習をする上で、この辺の名前はどうでもいいと思うので、一応参考までに。

 

まとめ

日常生活でほとんど意識することのない瞬発力の話でした。長くなってしまいましたが、何かのきっかけで読んだ方が1人でも参考になっていると、あのとき負け続けた甲斐があった気がします。

詳しく知りたい方はこちらもぜひ。

大谷翔平選手の投球動作から”SSC”(瞬発力)と投球のポイントを考える - とれはぶ.com

T君が東京五輪に出場することを楽しみにしています。(彼の視界に僕はいなかったと思いますが)

しかし、当時の僕は、なぜたった3文字のアルファベットにすら辿り着けなかったのか...もし、過去に戻れるなら小学4年生の僕にたった一言「S...S...C...」と教えに行きたいと思います。